3. 1946・文學的考察
加藤周一 中村眞一郎 福永武彦
ISBN978-4-572-00103-0 定価(本体価格1200円+税)
戦中学窓にあって時代の狂気をつぶさに体感した3人の著者が、戦後まもなく発表した、初々しくも激烈なエッセイ集。剛く繊細な知性に裏打ちされた鋭利な諷刺とエスプリは、当時相当な論議を招いた。戦後日本における文学的モニュメントといえよう。(解題・篠田一士)
永遠に価値を持つといわれる、夭折した詩人キーツの書簡集。「真実でないものはほとんど一つもない」(T・S・エリオット)詩についての思索、魂の内奥から発する種々の想念、肉親への愛、恋人への愛、青春の苦悩と喜びの一切は、この書に充ちている。
詩人、劇作家として著名なシラーは、また、カント哲学を深く研究し自由の問題を基本テーマに、美と芸術の理論的究明に努力した。本書はその代表的結実「カリアス書簡」「人間の美的教育について」「素朴文学と情感文学について」を収め、シラー思想の全体像を示す。
数々の佳作をあらわし、和漢洋の学芸に造詣深い夷齋學人石川淳の、稀に見る珠玉のエッセイ集。「面貌について」から「仕事について」に至る9篇を収める。融通無礙にして品格高い自在な精神の運動が、散文表現の妙をつくす。
『墨東奇譚』等の挿絵で有名な洋画家の著者は、また文筆にもすぐれた。愛惜した東京下町の変貌著しい風俗を多くに機会に書き留めたが、本書は、中でもとりわけ情趣にみち、往時の東京が生動する好随筆集である。著者自筆の挿絵を多数収載。
17. ロマン派文学論
Fr.シュレーゲル 山本定裕訳
ISBN978-4-572-00117-7 定価(本体価格1600円+税)
ドイツ・ロマン派の理論的支柱フリードリッヒ・シュレーゲル、この天才的批評家の営為が、現代文学のさまざまな問題の根は「ロマン派」にありとする訳者によって雑誌『アテネ−ウム』創刊期の若い頃を中心に編纂された。文章の含蓄は測り知れず、輝きは無比である。
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18. 退屈読本(上)
佐藤春夫
ISBN978-4-572-00118-4 定価(本体価格1200円+税)
文人佐藤春夫の「一代の名著」としてほまれ高いエッセイ集。大正期ほぼ10年間の創作以外の文章をすべて収める。形式、主題ともに多様な、滋味に富み、諧謔あふれる全102篇を、いま、初版の排列そのままに上下両巻に分かち、内46篇を本書とする。(解題・丸谷才一)
20. おらんだ正月 ー江戸時代の科学者達ー *在庫僅少
森 銑三
ISBN978-4-572-00120-7 定価(本体価格1200円+税)
江戸時代の日本にあって、後世の急速な近代化の礎石ともなった、多くの実学を志した人々のうちから、特に科学者を中心に選び出し、平易な語り口で説いた伝記52篇から成るもの。名著と世評高い当文庫旧版の改訂新版。写真図版多数収載。
(解題・富士川英郎)
21. 退屈読本(下)
佐藤春夫
ISBN978-4-572-00121-4 定価(本体価格1600円+税)
古き良き時代」の香り横溢する興趣つきないエッセイ集下巻。詩、花、美術、演芸、恋愛、身辺雑記、文壇ゴシップと、時に応じ、機に乗じた著者一流の健筆は止まるところを知らない。本巻において、校註者牛山百合子による、「各篇発表当時一覧」および「註」を付す。
戦時中雑誌『文学界』が各界の知識人に呼びかけて行った座談会と、戦後竹内好によって書かれた同名の論文を合本したもの。さまざまな論議を呼んだ前者と、思想そのものの帰趨を丹念に跡づけた後者と、あわせて精神史の重要な資料となろう。
(解題・松本健一)
24. 児童の世紀
エレン・ケイ 小野寺 信/小野寺百合子 訳
ISBN978-4-572-00124-5 定価(本体価格1400円+税)
1900年、世紀交替期に、スウェーデンの世界的な女流文明評論家が、子をもつすべての親にむけて児童教育と婦人の使命を説いたもの。家庭教育の重視、個性尊重、それを支える人間観等、まさに現在の教育のあり方をも根柢的に問う、迫力と今日性にみちている。
著者は、二十世紀前半の相次ぐ重要な芸術運動の多くにかかわり、ジョイス、エリオットらと主に、世界文学の動向に決定的な影響を与えた詩人。本書は、この文学の鬼才が、独自の見地から鋭い洞察を働かせて著した、示唆と刺戟の充満する世にもユニークな文学教科書。
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31. 気違い部落周游紀行
きだみのる
ISBN978-4-572-00131-3 定価(本体価格1400円+税)
失われたアイデンティティーを模索していた敗戦直後の時代状況に適合し、著者の名を一躍高めた書物。山村の生活を観察記録風に叙しながら、都会文化が進展し生活様式に変化が生じても今なお原理的な、日本人の前論理的世界を澄明に活写している。
すぐれた著作の多いイギリス伝記文学の中でも、折紙つきのもの。十九世紀後半イギリスの勢威の全盛期に六十四年にわたって在位した女王ヴィクトリアの人間像を、いささかも偶像視することなく、簡潔冷静な筆運びで劇的絵画的に叙述、電気を芸術までに昇華した。
自然と象徴 ー自然科学論集ー
ゲーテ 高橋義人編訳 前田富士男訳
ISBN978-4-572-00133-7 定価(本体価格1600円+税)
普遍の人ゲーテは、詩人・文学者として知られ、その生涯を通じての自然研究は等閑視されることが多かった。本書は文学作品等をも含む全著述からの抜萃、訳出、系統立った編纂を試み、再評価の気運高いゲーテ自然科学の精粋をコンパクトにまとめあげたもの。
淸唱千首
塚本邦雄 撰
ISBN978-4-572-00135-1 定価(本体価格1700円+税)
副題=白雉・朱鳥より安土・桃山にいたる千年の歌から選りすぐった絶唱千首。現代最高の歌人が、勅選和歌集の体裁に倣って、比類ない詞華集一巻を編む。四季・恋・雑に居並ぶ和歌の精粋、至妙の配置、加えて核心に触れる鑑賞の文が、日本の詩情を高らかに謳い上げる。
36. イタリア抵抗運動の遺書 (1943.9.8ー1945.4.25)
P・マルヴェッツィ/G・ピレッリ編 河島英昭 他訳
ISBN978-4-572-00136-8 定価(本体価格1500円+税)
大戦下イタリアにおける反ファシズム闘争の20ヵ月、階層・世代・立場の別なく、「共通の理想」をめざして戦い抜いたパルチザンの、家族や恋人、友人らへの万感こもる最後のメッセージ。真に主体的に、果敢に生きた、個個の魂の無垢な肉声が、時空を超えて切々と迫る。
37.38.39. 完本 茶話 上・中・下
薄田泣菫 谷沢永一 浦西和彦 編
ISBN978-4-572-00387-5 <上>
ISBN978-4-572-00138-2 <中>
ISBN978-4-572-00139-9 <下>
定価(本体価格1200円+税) <上><下>
定価(本体価格1100円+税) <中>
世に棲む人びとのありようを、くっきりと、ユーモラスに寸描した名コラム随筆の決定版。大正・昭和初に新聞・雑誌に連載された全篇を収める。雅の詩人としての前身とは打って変わって、人間知の造詣を鮮やかな散文芸に籠めて、俗中の真を書きとどめた。(解説 : 向井 敏)
近代日本の代表的法学者で、戦後労働争議の調停に奮迅の活躍をして逝った著者(1888〜1951)は、条文のみならぬ社会生活に欠かし得ない法について、この後も不朽と思われる叡智に満ちたエッセイを平易な表現で書いた。その精粋を二巻に纏めるうち本巻は総論に相当する。
36. 緑雨警語
斎藤緑雨 中野三敏 編
ISBN978-4-572-00141-2 定価(本体価格1600円+税)
明治の文人斎藤緑雨(1867〜1904)のアフォリズム(警語)を網羅し、文意が解しやすくなるよう語釈とコメントを加えたもの。警語集「眼前口頭」(1898)所収の条々以下、世紀の替わり目の作ながら、内容・表現ともに時代を超えて鮮烈、コメントも的確酒脱で、面白さは類がない。
42. 世界童謡集
西条八十 水谷まさる
ISBN978-4-572-00142-9 定価(本体価格1700円+税)
童謡の実作者ふたりが、子どもの心をうたった優れた詩や唄を世界に求め、粒よりの言葉で訳した名アンソロジー。1924年の初刊を本文庫版として復刊。マザー・グースの唄が数多く含まれる全382篇を、初山 滋・武井武雄らの挿画が彩り豊かに飾る。
(解説 吉田新一)
明治の末頃大詩人と謳われた薄田泣菫の、「茶話」を除く全随筆作品から56編をよりすぐったもの。いわば泣菫版「自然と人生」。自然界・人間界の別なく、およそ生きとし生けるものの命のいとなみの種々相を、同じように生きる者として見つめる筆致は暖かく、香気薫る。
44. 象徴主義の文学運動 *品切れ中
アーサーシモンズ 前川祐一 訳
ISBN978-4-572-00144-3 定価(本体価格1000円+税)
19世紀に末にフランスで起こり、世界的に影響を及ぼしたサンボリスムに関する名著で、文学評論の歴史においても最も重要な書のひとつ。ネルヴァル、リラダン、ランボー、ヴェルレーヌ、ラフォルグ、マラルメ、ユイスマンス、メーテルランクの真髄を衝く。名訳と好評。
45. 嘘の効用(下) *品切れ中
末広厳太郎 川島武宜 編
ISBN978-4-572-00145-0 定価(本体価格1600円+税)
名エッセイ「嘘の効用」で人間性に根ざす「法」の必要を説いた著者は、論客としても近代稀に見る活眼を持って、この立場を貫いた。本巻は、「過激社会運動取締法案批判」他、法律に関わる重大な政治・社会問題についての発言を収録。戦前の日本の一側面が、歴然と顕われている。
44. 秀十郎夜話 ー初代吉右衛門の黒衣ー
千谷道雄
ISBN978-4-572-00146-7 定価(本体価格1400円+税)
近代日本の代表的法学者で、戦後労働争議の調停に奮迅の活躍をして逝った著者(1888〜1951)は、条文のみならぬ社会生活に欠かし得ない法について、この後も不朽と思われる叡智に満ちたエッセイを平易な表現で書いた。その精粋を二巻に纏めるうち本巻は総論に相当する。
中西悟堂について野鳥を、水原秋桜子について俳句を学ぶという機縁を得、観察と実作を孜々として続けた著者ならではの、類のない俳句歳時記。戦時中の初刊ながらも、192種の野鳥データと、豊富な例句・季語は有用性に富み、山林等への携帯にも便。(校注 : 志村英雄)
徳川の世の二大都市「武家の都」江戸と「町人の都」大阪(大坂)を経済中心に比較し、両市間の関係を実証的に究明した古典的名著。市街の発展・市制・市内の交通、江戸大坂間の交通・金融・御用金・米・油・株仲間の9章。ポイントのわかる語り口が快い。(校注 : 藤村潤一郎)
明治から大正・昭和と破天荒な生涯を送り、詩人として巨大な足跡を残した人物、金子光晴の全貌が、詩・散文の精粋を集めたこの一巻に収められている。編者は、永年光晴に親炙した詩人で、世界的な整形外科医。多面多彩な光晴の懐の深さしなやかさが読む者を魅惑する。
50. 51. 52. 「あまカラ」抄 1. 2. 3.
高田 宏 編
ISBN978-4-572-00150-4 <1>
ISBN978-4-572-00151-1 <2>
ISBN978-4-572-00152-8 <3>
各巻とも 定価(本体価格1262円+税)
一世を風靡した食の雑誌(昭和26〜43年)全巻から、忘れがたい味覚に伴う人生の折々を語る、珠玉の随筆129編を精選、全3巻にまとめる。第1巻は司馬遼太郎氏らの作家篇、第2巻は小林秀雄氏らの学者・評論家篇、第3巻は團伊玖磨氏らの諸家篇と充実の豪華執筆陣。
周作人(1885〜1967)は戦前、類いまれな文章家として、中国新文学運動の代表者の一人として、兄魯迅と声望を二分したとされる文人。日本文化を深く理解した無二の中国読書人でもある。本書は、「冬の蝿」「東京を懐う」「魯迅について」等、随筆(小品文)の精粋を収める。
54. イーリアス(上)新装版 4月16日発売予定
ホメーロス著 土井晩翠訳
ISBN978-4-572-00154-2 定価(本体価格1800円+税)
トロイアとギリシア(アカイア)、それぞれに味方して戦う神々、戦う英雄たち、すさまじい戦場の後ろに見え隠れする女たちートロイア戦争を背景に展開する人間の運命を見すえて、三千年にわたり語り継がれ読み継がれてきた生と死の大叙事詩『イーリアス』は、今もなお多くの国々で翻訳され、愛読されている。
*
『イーリアス』は、少年シュリーマン(1821ー90)に、トロイア戦争の遺跡発掘の夢を育ませたが(『古代への情熱』)、土井晩翠(1871ー1952)には、ギリシア語原典から韻律ゆたかな日本語に移すよう、その詩心に強く働きかけた。
*
本書は、晩翠がついに永年にわたる念願を果たし、華麗荘重に格調高く歌い上げた、日本初にしてその後もまだ試みられていない韻文完訳の新版である。昭和15年(1940年)発行の冨山房版を底本とし、本文の表記は旧版仮名づかいのまま、漢字を新字体に改め、読みにくい漢字語等については、字音は新仮名、字訓は旧仮名で振り仮名を付し、さらに名詞の送り仮名、動詞の活用語尾を適宜補って読みやすくした。
55. イーリアス(下)新装版 4月16日発売予定
ホメーロス著 土井晩翠訳
ISBN978-4-572-00155-9 定価(本体価格1800円+税)
トロイアとギリシア(アカイア)、それぞれに味方して戦う神々、戦う英雄たち、すさまじい戦場の後ろに見え隠れする女たちートロイア戦争を背景に展開する人間の運命を見すえて、三千年にわたり語り継がれ読み継がれてきた生と死の大叙事詩『イーリアス』は、今もなお多くの国々で翻訳され、愛読されている。
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『イーリアス』は、少年シュリーマン(1821ー90)に、トロイア戦争の遺跡発掘の夢を育ませたが(『古代への情熱』)、土井晩翠(1871ー1952)には、ギリシア語原典から韻律ゆたかな日本語に移すよう、その詩心に強く働きかけた。
*
本書は、晩翠がついに永年にわたる念願を果たし、華麗荘重に格調高く歌い上げた、日本初にしてその後もまだ試みられていない韻文完訳の新版である。昭和15年(1940年)発行の冨山房版を底本とし、本文の表記は旧版仮名づかいのまま、漢字を新字体に改め、読みにくい漢字語等については、字音は新仮名、字訓は旧仮名で振り仮名を付し、さらに名詞の送り仮名、動詞の活用語尾を適宜補って読みやすくした。
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